(篠原戦略監)
それでは幹事社さん。
(幹事社)
では、幹事から質問をお願いします。
リニア関連で3点質問をさせてください。
先日有識者会議の初めての会合が開かれましたけれども、この時期の開催について、コロナということを配慮を求めていた県としてどういうふうにお考えかということと、その会議自体の内容についてどういうご所感を持っていらっしゃるか。
最後にこれからこの会議に県としてどういったことを期待されるのか、3点教えてください。
(知事)
ありがとうございます。新型コロナウイルスの感染が拡大されて、これが拡大して懸念されている最中。国交省が第1回の有識者会議を27日18時から開催するという強いご決意で、この委員7人のうち4人が会議に出席して開催されたとなりましたけれども、こういう時期によくやるなと思いました。大体五つの合意事項があります。第1は有識者会議は透明で公開であることというわけですね。公開性が果たして担保できたのかどうかということでですね、極めて限定的であったのではないかという印象を持っております。
それから、内容についてでございますけれども、このJR東海が本来工事内容を説明するということがあって、それからこう議論をするっていうことだったんですけど、JR東海の金子社長がですね、ご挨拶をなさいまして、「静岡県が実現しがたい課題を与えたことが課題解決を遅らせた原因要因であり、法の趣旨に基づき現実的な解決を図られるように進めていただきたい」というとんでもない発言がございまして、これは、会議が感染症緊急事態宣言の真っ只中開かれたこと以上にですね、おそらく聞いた人は、国交省のおそらく水嶋局長もそうじゃないかと思いますけれども、一驚したと。呆れたということですね、ちょっと言いますと。
まず、これは科学的な議論を行うために国交省が設置したものであって、JR東海の事業を推進するために設置したものではありません。そのような場で、発言がされたことというのはですね、温度差を欠くといいますか、不適切である、極めて不適切であると。
それからまた、第2に、県の環境行政の公益性を否定すると、これはとんでもない発言であるというふうに思います。
看過できるものではありません。早速、この抗議の嵐といいますか、ウェブ会議に参加されたといいますか、オブザーバーとして参加されていた流域市町も、同じ抗議の気持ちを表されているということでございます。そこでですね、こうしたものをまとめていかんなということになりまして、連名でJR東海の社長に対しまして、抗議文を出します。
会議の事務局は国交省ですから、国交省に対し、国交省がJR東海を指導するっていうのが、一つの合意項目の中に入っておりますので、JR東海に伝達並びに指導するというような形にするか、今のところは、明日になるまでちょっと検討をしているというところであります。
それからこの内容につきまして、出席した委員の方々から、JR東海の社長の発言に対しましては、環境影響評価法の趣旨の理解など基本的な考え方を正すとともに、この会議は、科学的工学的議論の場であると言う指摘がなされたのは当然だと存じます。また、座長からは具体的に工事中とか工事後も含めて検証する仕組みができてないのではないですかと。この仕組みが見えてないということがですね、JR東海が提出した資料からは見えてこないというご発言もございました。
JR東海からは、これまで専門部会で示されてきたものと同様の説明が行われました。これに対して委員からは、詳細なデータや根拠の提示を求める意見がございました。また、リスク管理の手法などを問う意見も次々と出されたわけでございます。私ども県は専門部会、これは科学的エビデンスに基づくためのやりとりでございますけれども、これを開催し、JR東海から資料を提出することを求めて、そして1年半かけて、やっとここまでの資料を我々は手にしたということでございます。この出てきた資料のレベルについて、やはり委員からですね問題視されたということです。このことだけからしてもですね、JR東海のこれまでの姿勢の問題点が、かいま見えるといいますか、理解できるのではないでしょうか。今後JR東海から詳細な資料の提示があるものと存じますけれども、公開の場で、科学的根拠に基づく議論が進むことを期待いたします。金子社長から、県の行政行為、市町も含めてですが、公益の責務に反する扱いであると発言がございましたが、このことは、県や国も含めてですね。全国の環境行政、また広くはユネスコエコパークに入ってるわけですから、SDGs水問題水環境について、この17の項目の一つに入っておりますけれども、国際社会の環境保全の取り組みの否定、或いは、挑戦と言っていいと。
静岡県といたしましては、このJR東海の姿勢に対しまして厳重に抗議をするものであります。また、ある委員からはJR側からの説明だけではなくて、県側からの考えなども聞くことが、早期の解決に繋がるのではないかという意見も出たようでございますので、この意見を受けまして私どもとしましては、委員の質問に対する県としての見解をまとめて有識者会議に提出することとしたいと思っております。
今後は大井川流域の住民の皆様に安心を与えて、地域住民のご理解をいただけるように議論が進むことを期待いたします。やはり5項目のうちですね、最初の第1項目公開性透明性ということに対しまして、今回画面が見えなくなった音が聞こえなくなったりですね、これはそういうものでしかないのかと聞けばですね。
この本件について今、くらし環境部の部長がですね、この方面のウェブ会議は、静岡県でもここまでやってきたので、今回のWEB会議はものすごく限界があったということでございました。ちょっと具体的にですね、近くの方から、くらし環境部長担当部長であります。
(くらし・環境部 市川部長)
くらし・環境部長の市川です。やり方についてはですね、技術的な問題、準備の都合もあると思いますが例えば静岡県では過去、行財政推進委員会ですとか事業レビューとか、同時にストリーミング配信をしてきた実績もございますし、また本日の記者会見もネットで配信しておりますので、技術的な課題を解決できれば、そういう見たい人が見れるということは可能であると考えておりますので、そういうことも含めて、申し入れを行って参りたいと考えております。以上です。
(知事)
見たい人が見れない状況だということなんですね。なぜそういうふうな限界を付すのかと。これは第1の合意項目に反するのではないかということでですね、水嶋鉄道局長また江口審議官にですね、この点は、次回からはこういうことのないように申し上げたいということで、市川くらし環境部長の方から、その点は申し上げるということにいたしました。
(幹事社)
すいません。今のご発言の中でも2点追加でお聞かせください。
1点目がですねまだ初回なので、ちょっとどういう印象かっていうところは難しいとこもあると思うんですけども、中立性、公平性っていうところについてはどういうふうに感触として思われたのかというところと、あと抗議文を提出されるということですけれども、これは流域市町と県の連名で、いつごろまでに出すというような目安なんでしょうか詳細を教えてください。
(知事)
有識者会議始まったばかりですからね。金子社長の不規則発言があったということと、それから不規則発言に対して、委員の先生方からの意見ございました。従って、さすがに有識者ですから、それなりのご発言をされてるんではないかというふうに思うところであります。
それから抗議文でございますけれども、明日には出したいと思っております。今草案をまとめておりまして、関係市町、に照会をして、明日中に国交省ないしはJR東海、或いは両者へと形にしたいと思っております。
(幹事社)
それでは幹事社質問に関連して質問のある社はお願いいたします。
(記者)
先ほどの公開性の話があったと思うんですけれども、今回の会議でですね事前に県が求めていた利水団体がオブザーバー参加に加われなかったということがあったんですけれども、傍聴も利水関係者に限られるということで、この点については知事どのような考えを持っておりますか。
(知事)
そうですね。こういうコロナの感染拡大の中で開かれているのでですね、ある程度の技術的な制約ってのはあるかなと思いますけれども。こういうことしかできないのかというふうにですね、うちの優秀な県の職員にもいますので聞いたら、今市川君がご説明申し上げたように、実は見たい人は誰でも見れるように、県のレベルでできるんですね。静岡県のレベルでもやっております。聞くところによるとこの記者会見なんか、ヨーロッパで見られるそうですね。そうするなんて言いますか、向こうからこの何て言いますか感想が寄せられてきたりしてるわけですよ。ですから、県でもできるんですから、国交省がどうしてできないのかと。いうのは当然ありますよね。ですから、二度とこういうふうなですね、不満といいますか、透明性それから公開性という約束したことに対して疑義が出るようなことはなされるべきではないと。国交省、それでもあなた方は公益のためにやってるのかということであります。でしかもですね、これはうちの利水団体だけではなくて、まさにこの東京、要するに、京浜、中京、阪神工業地帯ですね、ここを一つにするものでしょう。従って、ものすごく大きな人たちが関心を持ってるわけです。言ってみれば日本のこの国土のあり方が変わるわけですから。ですから誰もが関心を持ってますよ。同時にまた自然環境を守りたい。水環境を大事にしたいと思ってる人がたくさんいらっしゃってですね。
そういう人たちが自由にアクセスできないというのは、5項目のうちのアルファアンドオメガで一番最初の公開、透明であること。これは技術的にやってるのはこれ有識者の先生ではありません。会議を主催している国交省の技術がそんなに低いのかというふうにですね、言われないようにしていただきたいと思います。
(記者)
それに関連して5条件の1番目に会議の全面公開ということが書かれたと思いますが、これは今回要請して守られない場合には、どのような対応をとるということを今の現時点でお考えありますでしょうか。
(知事)
これは水嶋局長、また江口審議官、国交省の鉄道局を挙げてですね賛成をなさったことです。そして文書でも書かれてますね。5項目を合意してこうやるんだということでございます。
我々は委員の公正中立性ということについて、意見申し上げて、それは国交省との関わりで、今回のような事象になったわけですね。ですから、この合意事項に基づいて我々動いてるわけです。ですから合意事項に対して、何か合意内容ともとるものではないかという疑念がならないようにですね。当然反省をして、国交省としては、次回の会議、5月の中旬というふうに聞いておりますけれども、その時には、全国津々浦々誰でもがこれについてアクセスできるようにしていただくというのが義務であると、約束を破らないでいただきたいということを申し上げたいと思っております。
(記者)
会議の中で金子社長が発言されたことなんですけど、先ほどの知事の発言の内容だと事前に知らされてなかったのかていうのを感じたんですけど、実際そうなのかと。会議の中身も議事日程みたいのが当日に送られてきたとかそういった話だったと思うんですけど、国交省からそういう有識者会議の連絡が遅いのかなって少し思うんですけどそこらについてちょっと。
(知事)
これにつきまして私は金子社長がどういう発言されるか、金子社長が発言するか全く知りませんでした。それではちょっと織部君がいますので、担当の部理事です。
(くらし・環境部 織部理事)
くらし・環境部理事の織部です。金子社長のその会議で挨拶するっていう話は、画面を見て初めて知ったという状況で、資料もですね、1時間前にやっと届いてですね、皆さんに印刷して配るのが精一杯だったという状況でした。
(記者)
こういったことに関しての改善っていうのも、抗議文に入れたりするんですかね。
(くらし・環境部 織部理事)
具体的に今、抗議文は検討してますけども、次回からはそういうことのないようにお願いしていきたいというふうに考えてます。
(記者)
知事に伺いたいんですけれども、リニアに関して2点ありまして、有識者会議の金子社長の発言の静岡県から実現困難な課題を課されてるっていう発言は、これまでの県の専門部会での議論をほぼ全否定するような発言だと思うんですけれども、それについて知事はどうお考えかというのと、もう1点は、知事はリニア建設自体には賛成するというふうに発言してますけれども、今回のコロナの関係で東海道線幹線の乗車率が激減してる状況や、あと、リニア工事自体も一部で、中断している状況の中で、リニアの将来的に見て、リニアの建設の是非というか、建設意義自体はどうお考えでしょうか。
(知事)
はいまず1点ですけれども、まさに南アルプスを保全するということ、それからまたリニア工事を進めるということ。そのために南アルプスの自然を傷める形でトンネルを掘るということになりまして、それが水環境、生態関係、また、水量とか水質とか、どうしても管理だとか、様々なことにどう影響があるかということについて、議論をしているところなわけですね。それについてですね。JR東海は事業者として、環境影響評価や、国との約束で、守らないといけないわけですね。それを何て言いますか。そういう議論をする場なので、そもそも、金子社長のこういう発言は、事業者の利益に沿うように議論してくださいっていうふうにはとれますからね。もう実に無礼なものです。有識者会議を自分たちのための会議であるかのごとく私物化してるかと、許されないことですね、ですから不適切であり不穏当であり、そして、この抗議が起こるのは当然だというふうに思いますね。
それからリニアというのはですね、例えば、あれは磁気で走るわけですね。ですから時速5〜600キロで走るわけです。そうすると地上から浮いているわけですから、こういう電気ですね、ライトをどうして車内に引き入れるのかといったときに誘導電流といいますか、接触してなくても電流を送れるという、そういう技術ができたりしています。ですから、技術のですね、いわば粋を過去半世紀近く日本のこの方面の方たちがやってきてるわけですね。それがあります。ですから、私はその可能性というものがですね、しかも、1999年に乗せていただいたときに、大月と甲府間を乗ったんですけれども、そこで技術者と直にお話をしましたときの、彼らの使命感の高さにはですね、深く、日本のためにやってるんだという、打たれたこともございました。
しかし一方これはですね、危機管理というものがすべての前提になくちゃならないというふうに思っております。そして、この危機管理上、南アルプスのこの自然を守るとか、水はちゃんと確保できるのかと、それからいざというときにどうするのかということについてはですね、まとめただけでも大分絞り込んで47項目になったぐらい実はずさんなままに工事に入るってことになっておりました。従ってですね、この点に関しては、今科学的なエビデンスに基づいて議論をするということなのでこれを待ちたいというふうに思ってるところですね。
今の新幹線が、利用率が極めて低いと、或いは利用できなくなる場合があります。例えば、自然災害で、東海道新幹線が使えないといった場合ですね。それで、早くに人が移動しなくちゃいけないときに、これはリダンダンシーといいますか、このリニアでやろうという、そういうお考えで、これやってるということでありますのでね、そういう意味では、ちゃんと合理的な判断のもとにこの計画が立てられているという理解は思っているわけです。ですから、ただですね、さすがに大都会の静岡県の県立大学の鬼頭宏先生の統計分析ですけれども、人口密度の高いところで感染者が多い、また感染経路不明の人たちが多いということになってるわけですね。都会が危ないということであります。ですから都会的なライフスタイルというものが問われてるんじゃないかと、今お金のある方とかですね、余裕のある方が、この静岡県とか山梨県とか長野県とか、或いは東北に行かれるわけですね、別荘を持って。そこで優雅な生活されてるわけです。昔その疎開をしたのと一緒ですよ。食べるものが、東京はもう食料自給率1パーセントですから、物が入ってこないと生きていけないわけですね、こういうときにですね。いざ帰りなん田園という昔からの東洋の理想がありますけれども、そこが本当の理想のライフスタイルを持てるところではないかという動きが出てきてるのでこれはリニアが持っている思想すなわち、都会性をさらにもっと高めようと。要するにスーパーメガリージョンというわけですから、メガシティをメガリージョンにしようという、こういう考えですね、考えに対してですね、今オンラインであるとか、或いはその実際に会わなくても仕事ができる、そういう技術がますますこれから開発されていくでしょう。そうしたときにですね、600キロのスピードで人が移動するということを、その哲学ですね。これが問われると。はっきりというと明治以降進めてきました、特に戦後に進めてきた、その太平洋工業ベルト地帯ここに人々を集中させるという、いわば国土の政策国家政策ですね、経済政策であり国土政策だったわけですけれども、これが、1995年の阪神淡路大震災で、たくさんの方の生命を奪う形になったとか、或いは天災であると同時に、神戸に150万人の人たちがいたのはですね、そこに阪神工業地帯を作るという、国家の戦略の帰結でもあるので人災でもあったというふうに思います。こうしたことから、本当にこの東京中心の時代でいいのかと、これはさすがに昨日の全国知事会でもですね、やはり田舎の知事さんからですね、東京のために偉い迷惑してると。実際静岡県もそうですね目下のところは感染者は東京中心の人達がこられてますので、そういう意味で、この国の今の国土のあり方を次に考え直すすごく良いきっかけになってると思います。
その意味ではですね、リニアが立脚している哲学というのも、もう一度見直す。つまり便利・早い、こうしたものがいいのかとこれだけを追求してていいのかと。そしてそれは経済的に本当に見合うものなのかという経済合理性にもかなうものなのかと。新しい時代の人々の住まい方、安全な住まい方はどういうものなのかということでですね。
静岡県がふじのくにづくりということで、これをポスト東京時代を開こうとしておりますけれども、これを北海道東北、或いは北陸中部日本そうした田舎の地域ですね。ここに帰ってこれからの理想があるのではないかと。そこはスーパーメガリージョンではありません。スーパーランドスケープリージョンです。絶景空間ですね。そこは自然が豊かで水が豊かで食べ物が多くて人情も厚いと。今そこに人が来ようとしてるのを止めてるわけですけども、これからはそういうところに集住された方がいいのではないかと。それを可能にするような技術が、いわゆる遠隔授業とか、遠隔でのこの仕事とか、オンラインでの仕事ですね。今バーチャルなこのリアリティが今のところまだ電話よりですね、ウェブであると、何となく心が通いにくいですよね。やっぱりそのウェブにおける会議のリアリティー感というのが薄いですよ。なかなかそのテレビ会議っていうのは、心が通じにくいところがあります。しかしこれがさらに技術革新がいきますと、本当にもう実際に会ってるのと変わらないような技術がですね、できるというふうに思っておりまして、ますますそれは、もう家にいながら仕事ができるという、そういうライフスタイルをまた仕事のスタイルができてくると、文字どおりこれこそですね、働き方改革の究極の姿ではないかということではないかと思います。
こうした方向に今、進みつつある。いや、進んでいるというですね。条件が整いつつあるなということで、戦後75年のこの国づくり、さらに言えば明治以降のですね、いわゆる加工貿易型の臨海工業地帯を作るっていうこの見方がですね、今トータルにこの反省を迫られているというふうに見られておりまして、これまでのやり方の延長線上にあるのがリニア新幹線ですから、これについても国論が起こるというのを望んでおります。
(記者)
ありがとうございました。 |